カスタマーハラスメント対策の本当の目的とは

2026年10月から、企業にはカスタマーハラスメント防止のための措置を講じることが義務付けられます。

法改正を受けて、
「対応マニュアルを作らなければ」
「研修をしなければ」
と考えている企業も多いと思います。

しかし、本当に大切なのは、法律に対応することではありません。
現場で働く社員が、いざという場面で適切な判断と行動ができること。
これがカスタマーハラスメント対策の本質だと思います。

昨年、都内のカフェで友人と話をしていた時のことです。

入口付近で利用者の方と店員さんが話をしていました。
最初は、何か困ったことでもあったのかな、と思っていました。
ところが、そのやり取りは終わるどころか次第に激しくなり、しばらくすると警察官が店内に入ってきました。店内は緊張が高まっていきました。

その後どうなったのかは分かりません。

しかし、その店員さんは、
「どこまで対応すべきか」
「いつ上司へ引き継ぐべきか」
「警察を呼ぶ判断は誰がするのか」

その場で瞬時に判断しなければならなかったはずです。
こうした場面では、マニュアルを読んでいる時間はありません。

だからこそ、
日頃から判断基準を共有し、実際の場面を想定したトレーニングを行っておくことが重要なのです。

「うちは一般消費者向けではないから関係ない。」
そう考える企業もあるかもしれません。
しかし、法律上のカスタマーハラスメントの対象は、顧客だけではありません。
取引先や事業に関係する相手方も含まれます。

BtoB企業でも、
・過度な要求
・人格を否定するような発言
・長時間の拘束
・威圧的な対応
などが起こる可能性は十分あります。

つまり、業種を問わず、多くの企業に関係するテーマです。

もちろん、会社として方針を定めることは大切です。
しかし、それだけでは十分とは言えません。
社員一人ひとりが、
「これは通常のクレームなのか」
「カスタマーハラスメントに当たる可能性があるのか」
「自分だけで対応せず上司へ引き継ぐべきか」
を判断できる状態をつくることが重要です。

カスタマーハラスメント対策は、社員を守るためだけの取組ではありません。
社員が安心して働ける環境があるからこそ、一人ひとりが落ち着いて適切な判断や対応ができるようになります。
その積み重ねが、質の高い顧客対応や円滑な事業運営につながります。

その結果、
* 顧客との良好な関係が維持される
* 現場の混乱が減り、本来の業務に集中できる
* 生産性が向上する
* 人材の定着につながる
こうした好循環を生み出します。

法律への対応は、そのためのスタートラインに過ぎません。
企業の持続的な成長という視点から、今こそ自社に合ったカスタマーハラスメント対策を考える良い機会ではないでしょうか。

上記の改正により、就業規則や書式作成などの手続きが求められます。
※会社に適した法改正対応についてのアドバイスが必要でしたら、ぜひご相談ください。

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上岡由美子

上岡由美子

社会保険労務士の上岡です。

外資系企業での16年の勤務経験を活かして、外資系企業の人事・外国籍社員の労務管理をバイリンガルにサポートします。

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